キャンディーのなんとか

ここ数週間、スケジュールがハードで精神的にはレッドゾーンで回りっぱなしだったので、 23:00頃に所用を済ますと魔王がDJをぶちかます、という場所に行ってみる。 珈琲を飲みながら爆音でリラックスしながら瞑想に耽り、無の境地に陥いりたいという算段である。 彼の場所はホテルのロビーというか、ラウンジというかお洒落な所で、 「わたし、本当に入ってもいいのですか?」と3回ほどつぶやいた後で左足から慎重に突入し、左右の安全を確認すると 深々とイスにもたれる。 魔王はボッサっぽいのや軽いソウル系などをかけていた。DAVIDTIOというバンドの「キャンディーのなんとか」という お洒落で卑猥な曲もかかっていた。皆が連れ立っている中でわたしだけが一人であったが、 生来の孤独マニアのわたしには思索に浸れて最適な環境であった。 30分ほど美味い珈琲を飲みながら、惑星直列が地球に与える影響とか詩の韻の踏み方について考えを巡らせた。 やがて終電の時間になったので、ちょうど帰ろうとしていた魔王と彼の場所を出る。 今回のDJに不満があったのか、ホテルの自動ドアが開くその瞬間、魔王は「やり足りねぇな・・・」とボソッと言うと ドア付近に置いてあった消火器を握り、いきなり振り返ると、ロビーにぶちまけた。そして外においてあったハーレーにまたがると 「ボーン・トゥ・ビー・ワァーーイ」と唄いながら長髪をなびかせ、そのまま店内に突入した。 2,3周店内を破壊しながら走り回ると、たまたまハーレーの横に装着してあったショットガンを 握り締め「うははははははは」と笑いながらぶっ放した。ヘルス・エンジェルスの如し。店内に響く、絶叫、悲鳴、そして逃げ惑う人々。 やがて弾が切れると銃を放り出し「スゥィー・ジェーン、スゥィー・ジェーン・・・」と叫びながら そのまま魔王は渋谷方面へと走り去った。オルタモントの悲劇が脳裏を過ぎる。 あぁ、東京の夜はこんなにもバイオレンスに満ちている。

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