Bunkamuraはメトロポリタン美術館展

今日は渋谷Bunkamuraで開催中の「メトロポリタン美術館展」に行く。何が来ているのか全く調べずにピカソがあるからいいや、位の気持ちで行ったのだがモディリアーニの「横たわる裸婦」、シャガール「恋人たち」に特に心を惹かれそればかりを見ていた。もちろん、ピカソも最高で「白い服の女」、「テーブルで読書をする少女」には見入ってしまった。「白い服の女」は今回の72点の中では攻撃的な絵が多い中、最も優しく、いくら見ていても飽きないような自然な感じがあった。実際、その絵の側にソファがあったので横たわって30分ほど見ていた。やがてうつらうつらしてきて眠りそうになったので恥ずかしい思いをする前にそこから移動した。シャガールの「恋人たち」は画集では見たことがあって大変好きな絵であったのだが、まさか今回展示されているとは思わなかったのでその絵に対面したときには驚いた。「うお!」と声を発するとしばし直立不動。その後、「わたし」という名の船は更に北北西に進路を取る。そしてモジリンの「横たわる裸婦」とのご対面。正直、モジリンは今まであまり興味がなく、悲劇の画家で面長の女性の顔を描くという記憶しかなかったのだが、これには驚いた。今回の展示品の中で最も絵が持つ力を発揮していたのはこの絵ではないだろうか?もっともなまめかしく、いやらしい(岡本太郎風)。


 今、手元に今回のパンフレットがあってその中にもこの絵の写真があるのだが、実物のもつ異様な迫力とは比べようもない。呪われた画家たちの一人と言われ、貧困と孤独と絶望の中で彼が残したこの「横たわる裸婦」は人間の生の喜びに満ち満ちている。一体、画家の幸福とはなんであろう?創作者が作品でしか語れないなら彼は間違いなく幸福である。そしてもっと言えばわたしはその瞬間、幸福であった。その時、わたしの中に不埒な欲望が巻き起こった。”あぁ、この絵を強奪したい!そうだ!強奪してしまえ。この絵を家に飾って毎日、眺めるのだ”わたしはフラフラと絵に近づいた。指先が額縁に触れようとしたその瞬間、もう一人のわたしが囁いた。”みんなにもこの幸福を分けてあげなさい”・・・寸でのところでわたしは思いとどまったのだ。わたしの尋常ではない目つきに気づいたのか、警備員が近寄ってきた。わたしは咳払いをすると両手を広げ敵意がない事を示す為に警備員にウインクをした。彼は了承したのか、わたしから離れていった。出口へ向かう事、三度。その度に引き返しては「横たわる裸婦」だけを見て満足しては出口へ足を運んだ。3月までやっているのであと二回は見に来ようと心に誓う。帰りに画集を買おう、と思うが本物を見た後はやはり画集では物足りない。そこで「ヴィトゲンシュタイン」という彼の人生、哲学が載っている本を買う。

家に着くとチンチラくんが遊びに来て”ディラン最高!”ということで盛り上がり、二人でジャカ、ジャカやる。今度の28日にはチンチラくんが渋谷でライブをやるとのこと。楽しみだ。

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