新しいパソコン

最近、新しいパソコンを購入した。表向きの理由は、世に潜む悪人どもを監視し場合によっては制裁をくわえるためである、ということになっている。表向きということは裏の理由がある訳なのだがあまり大っぴらにするとわたしの世界征服の野望に支障をきたす事にもなりかねないのでハッキリは説明しない。いずれにせよ、わたしの計算に間違いがなければ現在、我が家には4台のパソコンが蠢いていることになる。そのうち2台はマックである。これらは主にアヘヘな音楽やムフフな画像をナニするために用いられる。そして新しいパソコンで何をしているかというとやっぱり、デヘヘな音楽やムホホな画像でウハウハしている毎日である。これらのマシンは同じ部屋に並べて設置してあり、4台も並んでいると何か良からぬことをしている雰囲気がプンプン漂ってくる。見ようによっては速射砲や大砲に似ているしこれらのマシンにプリンタ、スキャナを加えるとそれは一つの要塞だ。差し詰めわたしは全てを操る司令官と言えよう。しかし、油断してはいけない。パソコンという奴らは絶対に忘れない記憶力と膨大なデータを所有している。しかも司令官殿は容赦なく無理難題を押し付け、休む暇もなく強制労働をさせているのだ。いつ反乱を起こすか、油断も隙もありゃしない。わたしは時折夢想する。こいつらが一致団結し司令官に反抗を開始したらどうなるか?とても敵わない。わたしの極秘データは流出し、わたしは恥と汚辱にまみれ、後ろ指を差されつつ場合によっては夜寝ている間に感電死などさせられるかもしれない。恐ろしいことだ。そこで司令官は最悪の場合に備え、ある一つの手段を見出した。全てのパソコンの電源を一つの差込口に蛸足で接続させた。危険ではあるが致し方あるまい。家には4つのブレーカーがあるのだが、その一つにパソコンの電気供給を集中させたのだ。何かあれば司令官はそのブレーカーを落とせば良いのだ。パソコン!などと威張ってはいても所詮、電気がなければただの箱である。司令官は一つの解決策を見出すと自らの策略に酔いしれた。