裸の別人28号

本来であれば富士山頂から日の出を見たり、椿大神社で炎の中に現れる龍神様の写真を撮ったり、ウラジオストックで寒中水泳に興じたりする事を楽しみにしていたのだが、大晦日の夕方くらいから何だか体調が優れないので、横になってじっとしていた。横になったからと言って眠れる訳でもないので、ノートを広げては猥褻な言葉を書き連ねて悦に入ったり、大人達があられもない姿でプレイする画像や動画を片っ端からダウンロードしては秘蔵コレクションのリストに加えたりしていた。リスト名を「裸の銃を持つ男2」にしたところで2025年になった。

このように興奮する行為ばかりしているせいか、少し熱っぽいような気もしてきたので、TikTokで年越しライブ配信でもして気を鎮めようと思い、準備を始めた。スマホのカメラをのぞくと自分の顔が随分と色白になり、輪郭も細く今風のイケメン顔に修正されている。これは凄い!しかし全くの別人28号だ!不思議な事に基本的には自分の顔なのだが、どうみても別人だ。うーむ、これは一体?しかし、こんな見映えばかりを気にして、人を欺きながら配信などして楽しいものだろうか?こんなのはおかしい。正々堂々ありのままの自分を、、、などとぼんやりと考えているとやがて、いや、待てよ、18歳くらいの頃、おれは確かにこういう顔をしていたかもしれん、ふむ、いや、確かにこういう顔だった!これはおれだ!むしろこれが本当のおれだ!と稲妻のような啓示を受ける。

そうなれば話は別だ。おれは胸元を大きく開けて、少し胸毛をチラつかせつつ、ソファにだらしなく寝そべったりした。セクシーさを強調するためである。まだ、足りん。これでは完成形とは言えない。そこでいそいそと上半身裸になった。いい塩梅のポーズをすることしばし。やがて大きなクシャミをした。むむ、いかん。なんだか寒気さえしてきた。おれはパジャマを着直すと布団にいそぎ潜りこみ、天井に紫の花が一面に咲くのを見ていた。

ただ、いっさいは過ぎていきます。