夜から渋谷に行く。あの卑猥な喧騒が溢れ返った街、渋谷。青い部屋も渋谷だが大分趣きが違う。
青い部屋はほとんど青山だからかな?原宿の方が落ち着く。街も低いし、緑も多いし。
渋谷に着くと散歩もそこそこに、わたしはダーク・ザ・ジャイアントのメンバーに見つからないようにライブハウスに入場し暗がりで息を潜めていた。演奏している時だけ姿を現し、また消えてしまい、後で聞かれても「知らないよ」と答え、「ドッペルゲンガー」自作自演をやろうとしていたのだ。しかし、バンドが演奏を始める前にハルエちゃまに見つかってしまった。作戦は次回に持ち越し。ダーク・ザ・ジャイアントの演奏は何だかいつもより早く終わってしまったような気がしたが錯覚だろうか。しかし、新曲も聴けた。新しいドラマーになってからの演奏は初めて見た。
見終えると本屋に行き、「黒い文学館/生田耕作」を買う。わたしは生田耕作の翻訳が大好きで「世界の果てまで連れてって/ブレ-ズ・サンドラ-ル/」「マダム・エドワルダ/バタイユ」「葬儀/ジャン・ジュネ」などは何べん読んだか分からない。しかし、彼の評論集は不思議と読んだことがなかった。翻訳だけを読んでいたときにはあの独特の文体が仏語のオリジナルの文体に起因するものなのか、よく分からなかったが評論集を読んでみてアレは彼のオリジナルであったことが判明した。それにしても彼の批評精神はすさまじい。彼のダンディズム、美的嗜好がほんの少しの妥協も許さないのだ。当時のジャーナリズムの低俗さ、作家、映画監督、同じ批評家仲間にまで痛烈な言葉を投げている。こういう損得勘定抜きで動いている精神というのは何だか、美しいもののように思える。

