ある朝、わたしはなにか気がかりな夢から目を覚ますと

ある朝、わたしはなにか気がかりな夢から目を覚ますと、 自分が寝床の中で一匹の巨大な虫に、いや、寒い感じがして暖房に火を点した。 そして、あたりを見渡し、安全を確認するともう一度夢の中へと落ちていった。 何処か遠くわたしの知らない世界から鐘の音が聞こえる。 わたしは目の前に続く石畳の坂を上った。道の先には真っ白な教会が見える。 多分、お昼を告げる鐘を鳴らしているのだろう。それとも誰かが結婚したのだろうか? こういう響きは聞いたことがない。非常に複雑で美しい音だ。 そしてそれは目覚まし時計の音に似ている。 多分、いや、本当はアノ音は目覚まし時計の音なのだ。しかし、どっちでもいい。 今、問題なのはソレではない。わたしは毛布を被り直した。より心地よい眠りへ落ちるために。 またもやナニかが鳴り響く。ブルブルとうなり神経に喰らいつくような。 嫌な音だ。”電話?”わたしが今、こうしていることに対して何か文句がある輩からの電話だろうか? それともわたしに何か幸運を運んでくれるお告げなのだろうか? 多分、前者だ。しかし、ずっと聞いていると大して気にもならなくなってくる。 一度止んで、もう一度音はうなるように騒ぎ立てた。”まぁ、いいや” もう全然気にならないので放って置く。”あぁ、春の朝は気持ちがいい、だって暖かいもの” 少々、身体が汗ばんできた。しばらくして嫌な匂いが鼻をついた。”ナンだコレは?” 嫌な、とても嫌な匂いだ。わたしは飛び起きた。ストーブに近づきすぎたため毛布が燃えていたのである。 危ないところだった。わたしは一発で目が覚めた。「独身男性、孤独の中の焼死!錯乱状態の手記が散乱!自殺か?」 等と新聞を飾らなくて良かった。