阿佐田哲也エッセイ1

日中、所用で代官山に行く。桜の木があり、「うむ、7分咲き位か」と思ってよく見ると もう散り始めていた。帰り際、多摩川の桜を見てみたがやはり同じで、ついに満開の桜を目にすることはなし。 ブルベの夜からどうも体調がおかしいと思っていたら風邪をひいていたらしい。 「阿佐田哲也エッセイ1」、DylanとDr.JohnのCDを購入してそのまま家に帰り寝そべる。 目を覚ますと夕方だったが、もう起きられないのでうなされながら言葉による表現と隠蔽について考えてみる。 ”Aについて何かを説明する場合、Bについては語られないのさ””うーん、それはどういうことだい?” ”Bについて語りたくないが故にAを語ることでBを隠そうとすることだ””じゃぁ、AとBを述べている場合には?” ”それはCという事象がある、と考えられる””ナニを言っているのだ、きみは!” ”分からんかな?つまり何かを表現するということは何かを表現しないということだ” ”うーん、どうも分かり難いなぁ、もう一度頼むよ””うむ、いいかい。Aについて何かを説明する場合・・・” こういうことを半ば夢の中で10回ほど反復する。自分でもあまり良く分からない。 つらつらしていると不意に「ギッ、ギィーー」と部屋のドアが開く音がする。 「ついに我が友、死神が迎えに来たか」とぼんやり思う。「あれ、おかしいな?人の気配がするのだけど」 J三郎だ。灯りは消えているがストーブだけが点いている部屋の状態に戸惑っているらしい。 その瞬間、わたしは本来の力を取り戻した。地獄の底から響くような低音で 「ウハハハハ、ワシハ死神ダ。貴様ノ命ヲ頂戴シニ来タ・・・」 「あぁ、お兄様、いらしたのですか」 「ソンナ者ハ知ラン、ワシハ死神ダ。貴様ノ命ヲ頂戴シニ来タ・・・」 「今日は随分と早いお休みですね、そんなことよりもメジャーの開幕戦見ましたか?」 「ソンナ事ハ知ラン、ワシハ寝ル・・・」 雨と風の音が外でバタバタしている。