日中、任務上使用しているパソコンが駄目になった。 使うパソコンがことごとく駄目になる。「わたしが強烈な電磁波を放出しているせいでしょう」と 言ったら、U大佐が神妙な面持ちで 「君は確か宇宙人に連行されたんだよな?多分、その時に埋め込まれたアレのせいだろう」と言った。 宇宙人に連行された夢を見た話はしたような気はするが、「アレ」についてはわたしにもよく分からない。 「”アレ”ってなんですかね?」と聞きたいがそういう事は聞いても教えてくれないので 「あぁ、そうか、アレのせいか」と納得したことにする。
U大佐は非常に変わった人なので わたしが言ったことから色々なことを妄想し、彼独特の不思議な装置を想像の中で生み出してしまったのだろう。 そして、得体の知れない妙な光を発する何かがわたしの体の中で絶えず活動していることになっていて、 それが恐らくは彼の中で「アレ」と呼ばれる装置になっているのだ。 そういう事であるならばわたしにはもうどうしようもないのであきらめるしかない。
1時間後くらいに再び聞いてみる。「やっぱりアレのせいみたいですよ」 U大佐は目を輝かし嬉しそうな顔をする。 「うーん、そうか。アレは凄いからな。君が時々、妙なことを言い出すのも、 妙な事をやりだすのもみんな”アレ”のせいなのだからな。そうか、そうか、やっぱりアレか」 うーむ、どうやら、この人の目から見るとわたしは完全に”アレ”という正体不明の(彼の中では不明ではない) 何かしらに支配されて動いているものらしい。しかし、考えようによっては人間は 自分の意思でさえままならないことがある。 ともすると、この人はそういう大宇宙の神秘を暗喩的にわたしに伝えようとしているのではないか?
思い切って聞いてみる「最近、アレがオレンジ色を発したりするのですが・・・」 U大佐の目がギラリ、と光った。「いや、アレは緑色のはずだろう?」 わたしは愕然とする。足元が不安定になり、ユラユラと身体が揺れ始める。 ”あぁ、わたしの身体には本当に”アレ”が埋め込まれているのではないか? 段々、記憶が鮮明になってきた・・・あの日、わたしの身体に”アレ”が埋め込まれた時、そこには 確かにU大佐の顔が・・・”

