夜から原宿モリガンズでのLOU姫の歌を聴きに行く。 LOU姫の声は柔らかく聞いていると気持ちが落ち着くので好きだ。 わたしのような常に精神を尖らせ、やり場のない不満を持ち歩き、 触れる者を皆、傷つけたり、傷つけられたり、理由もなくいきなり殴りつけたり、 悪意に満ちた行為で己を慰め、全てを黒く塗りつぶし、 道ばたに唾を吐き、穴の空いた靴下をはいたり、 少しでも気に入らないことがあると、泣きながら海岸で好きな人の名前を指で書いて消したり、 「あぁ、あの雲がメロン・パンだったらなぁ」と思ったり、 電気を消した部屋でヒザを抱えて一人ぼっちのシリトリ遊びをしたりするような人間には 非常に癒される声である。
しかし、その前に考えねばならないことが山ほどある。 まず、わたし自身の体をその場所まで運ばなければいけない。 わたしは「どこでもドア」を持っていないので、何かしらの交通手段に頼るしかない。 考えた末に電車に乗ることにした。一直線に線路の上を走っていくのでこれは中々、あなどれない乗り物ではある。 しかも、車両がたくさんあって好きなところに乗ってよい。本気を出せば寝そべっても良いのだが、 これは誰かしらに蹴飛ばされても文句はありません、という大胆な覚悟が必要になる。 わたしは座席に座った。次に時間について考える。 時間。おぉ、この不可知な存在よ!彼は過去からやってくるのか?それとも未来から? 現在はいつも、目の前を瞬く間に通り過ぎ、わたしの後ろへとあっという間に遠ざかっていく! 時間!汝は地球が回るから?宇宙が膨張していくから? わたしがこうして悩んでいる間にも汝は足早に過ぎ去ってしまうのだ! あぁ、それにしても夜の電車は空いていて心地よい。時間なんか別になんだっていいや。眠くなってくる。 気持ちが良いと人は眠くなるのですな。ウツラ、ウツラする。寝てしまう。 やがて目的地に着く。LOU姫がギターを抱えている。共演のまり姫が歌っている。 いきなり終わる。次が最後の曲らしい。間に合わず。かろうじて一曲だけ聴く。 しかし、LOU姫は優しく歌ってくれる。「ハレルヤ」。あぁ、ありがたい。 ハレルヤ、ハレルヤ、ハレルヤ、アーメン!

