夏の夜の夢の忙しいこと

 川口大魔神の神業セーブの興奮が忘れられず、拙僧、布団にくるまりその瞬間を思い浮かべてはいつまでも悶々、悶々。 やがて立ち上がりて、楽器を握ると遮二無二弾き倒し時間を忘れ、前後不覚に陥ることはなはなだし。 妖しの力に導かれるまま、窓をガラリと開けたなら空には真ん丸お月様。 ”道理で興奮する訳だ、こういうことではいた仕方なし” そのまま日が昇るまでワンマンショーにてござそうろう。雀チュンと鳴き、カラス、カァと鳴く、 「あら、朝だわ!」と気づくやいなや、下駄を鳴らしてコンビニへ。 ”寄ってらっしゃい、見てらっしゃい!”町民たちで賑わう天下の往来、そこのけ、そこのけ、お馬が通る。 行きはよいよい、帰りは怖い、毎度、毎度のスポーツ新聞、 隅から隅まで目を通し、8時頃にはようやく眠りへ。昼には再び目を覚まし、天狗に人魚、鬼、雷獣、 奇妙奇天烈、摩訶不思議。龍の尻尾に天狗の詫び状、それから河童と人魚のミイラ、ユー・エフ・オーはないけれど 死んだはずだよ、お富さん。夜には疲れてぐったりと、三途の川の夢を見て、賽の河原で石を積む。 積んでも積んでも積みきれぬ、川口魔人が蹴り飛ばし、鬼の形相で石を噛む。 月の光が妖しく差し込み、ただならぬ邪気が満ち満ちた、深夜の部屋でうなされて汗にまみれて飛び起きる。 扇風機がカタカタ回り、 蝶々がわたしか、わたしが蝶々か、あら、夏の夜の夢の忙しいこと、忙しいこと。