朝方降り始めた雪の中、わたしの意識は空腹と睡魔と寒さという三重苦の中で次第にフェードアウトし始め、 下北の街で行き倒れる寸前であった。ぼんやりとしたわたしの頭の中には ヒトラーが現われ、黒いドクロの飾り物の付いたローソクを振り上げると演説を開始した。 「わが闘争!国家的な闘争!人はみな、牙を持っている。それを巧妙に隠す者もいれば そうでない者もいる。そしてその鋭い牙で噛み付くのはなにも満月の夜だけとは 限らないのだ!さぁ、狼男になるのだ!牙をむき出しにしろ!ヤー、ヤー、ヤー! ナインと言わずにヤーとおっしゃい!」 危険を感じたわたしは最後の力を振り絞るとがバッと立ち上がり 近くの携帯電話ショップに飛び込んだ。電話が止まったので料金を払うためである。 それから年末にしておかねばならないアレコレについて考えを巡らした。 しかし、幾ら考えてもナニも浮かんではこない。 あぁ、この雪がもっと降ったのなら電車は止まるのだろうか? かまくらを作ったり雪合戦をしたり、そんなことも出来るのであろうか? しかし、寒いのは嫌だ。あぁ、早く愛と美、そしてその中で欲望にまみれ果ててしまいたい。。。 どうやらわたしは電柱に寄り掛かり、そのまま夢を見ているらしかった。 「さぁ、暖かいスープですよ。お腹がいっぱいになったらフカフカの毛布も ありますからね。。。」どこかでそんな声が聞こえるような気がした。
朝方降り始めた雪の中
雑感
