ゴールデン街Happy

ゴールデン街のHappyに行った。お店に着くなり「ちょっとストーンしたいんですけど何かいいモノはありますか?」と尋ねる。ソースケくんは「そうですね、こういうのはどうでしょうか?最近イギリスモノのレコードにハマっていまして」とストーンズのレコードを取り出した。

彼はロック愛とストーンズ愛、ギター愛に溢れた人物で、このスジの話題なら半ば永遠に話をする事が出来る人物である。Miss You 12インチ盤が流れ始める。B面はFaraway Eyesである。ジャケットを見せてくれた。全体的にピンクがかった美しいジャケットだ。二年ほど前にストーンズを観にハイド・パークに行った時の話などもしてくれる。「うん、うん、これはいい、実にいい」「その時にこのレコードも1ポンドほどで安く、、、」「うん、うん、なるほど、、これもいい、ホニャララ、ホニャララ、I won’t miss you child、、、」Miss Youが部屋いっぱいに広がった。なんだか、縦笛でも吹きたい気分になってきたが、見当たらないので壁に立てかけてあったアコギを抱えてかき鳴らす。

先ほどまで「無情の世界」が流れていたはずだがいつの間にか「一人ぼっちの世界」に変わっている。つまるところ世界は徐々に変化していき、唇にはヨダレ。頭がだんだんボンヤリしてくる。
ふと気が付くと隣に何枚もレコードを抱えた男性が立っている。
「これらは全部が全部、レノンではないれすか?」僕がそう尋ねると「そうです、全部が全部、レノンなのれす!」男性は答える。「あ、しかもこのレコードもイギリス盤ではないれすか!」ソースケくんの声も何故か妖しげな響きを帯び始める。その声はなんだか昨日から聞こえてくるようにぼんやりしている。そのままレノン愛好者も交えて、手をつなぎ円陣を作ったり、スクラムを組んだりしながら店の中をグルグル回り始める。もしかしたら未確認飛行物体としてのアレを呼ぼうとしたのかもしれない。あばばばば、断片的な記憶が何度も頭の中をいったりきたりし、気がついたときには近くの花園神社に半裸のまま横たわっていた僕の上を、サザナミスズメという蛾が交尾したまま飛び去っていった。