カナリア

子供の頃、オレンジ色のカナリアを飼っていた。いつも美しい声で鳴いていた。小学二年生の時に間違ってカナリアを外に逃がしてしまった。それは非常に辛い経験で、それから毎晩眠る前にはいなくなったカナリアが近くの電線に止まっていることを想像しながら眠りについた。もしかしたらどこかにいるかもしれないと思い、いつも電線に止まっている鳥を見るようになった。そのうちカナリアの事は忘れてしまった。今朝、夢にそのカナリアが出てきた。どこからともなく飛んできたカナリアはおれの肩に止まると以前と同じように美しい声で鳴きだした。「なんだ、ここにいたのか」そう言いながらクチバシのところを撫でると嬉しそうにうなずいた。撫でてる最中に涙がこぼれだし、そしてこれが夢の中である事にぼんやりと気づいた、恐らくそろそろ目が覚めるのだろう。おれはカナリアを握りしめようとしてやめた。そう思った瞬間、目が覚めた。