「むかしの味/池波正太郎」、「ペドロ・パラモ/ファン・ルルホ」の2冊をポケットに突っ込むとおれは曲がった鉄砲玉のように外へ飛び出した。2冊持っていくのは目的地が横浜で少々、旅行めいた匂いがするからである。長距離である故、一冊だと途中で飽きた場合に困るので、趣きの異なるブツを持っていくという保険、良く言えば策を弄した訳だが、両方ともお尻のポケットに入れたために家に帰ってみると、ひん曲がって本の形がおかしくなっていた。
むかしの味-これは読んでいると誰もがその店に行ってしまいたい欲求を抑えられなくなるのは必然、のみならず、店の名前をGoogleマップで調べ、「おれのグルメマップ」に保存させてしまうという性質を有している恐るべち本である。その店が浅草などにある事が分かると、居ても立っても居られなくなり、すぐにでも出かけたくなる。
一方、ペドロ・パラモ、こちらはいわゆるラテン文学で時折登場するマジックリアリズムの手法が感じられる作品であるが、
ペドロ・パラモという名の、顔も知らぬ父親を探して「おれ」はコマラに辿りつく。しかしそこは、ひそかなささめきに包まれた死者ばかりの町だった……。生者と死者が混交し、現在と過去が交錯する前衛的な手法によって紛れもないメキシコの現実を描き出し、、、
と本の解説を読んだだけで興味ある御仁のいきり立つ姿が目に浮かぶほどのマジックマッシュルーム、いや、リアリズム。しかも話の筋なぞどうでも良く、好きなところから好きなように読む、のに最適な本でどこから読み始めても散文詩のように言葉の表現に酔うことが出来る逸品。
さて、電車に乗ると座ることが出来てしまったので、これ幸いとばかりに音楽動画の編集に没頭してしまう。ああ、あっという間に横浜だ、降りるタイミングをのがし、結局、みなとみらい駅で降りて元町、海の見える公園、山下公園、桜木町、野毛、伊勢佐木町、最終的に馬車道という王道コースを歩き、帰りも動画編集しているとあっという間に帰宅。読書時間ゼロ、という結果に終わったのでござるよ、ニン、ニン。

