認識者

我ら「認識者」の間では周知のことであるが、後ろを振り向く時には何らかの予備動作をしながら ゆっくりとコトを行うべきであります。これは一人で部屋にいる時にこそ、なおそうするべきでありましょう。 何かこの世ならざるものが我らの後ろからじっと様子を見ている場合に、いきなり目が合ったりすることのないように そのモノにお知らせするためなのです。「さぁ、そろそろ後ろを向きますよ」、とまぁ、そういう意味を持たせます。 向こうだって見つかりたい訳ではないので、イキナリそんなことをされたら隠れようがありません。 しかし、万が一、そういう掟を忘れて何かの拍子にハッと振り返ってしまい、 もしも目が合ってしまったらどうするか?そういう場合、わたしはトボけることにしています。 ナニも見ていない素振りをするのです。間違っても「アッ!」あるいは「ギャー!」などと声を上げてはいけません。 向こうも驚き、何かトンでもないことをしでかす恐れがあるからです。
妙なリアクションでジタバタと驚くなどというのは 最悪です。彼の人はその仕草から”ダンスをしたいのですね・・・”と思い込んでしまうから。 彼の人はあなたの手を取り、ダンスをしながら、生きた人間が住むことは出来ないこの世の裂け目へとあなたを 連れ去ってしまうことでしょう。