らーめん屋「らすた」でディナーを喰らい、颯爽と店を出ると列を作っている待ち人の中から 「いやー、奇遇ですね」と声をかけられる。何処かで見た顔だと思ったらJ三郎だった。 その時、わたしは「三国志」を持っていたのだが、彼も「三国志」を持っていた。
何だか気持ちが悪いので素早く家路を急いだ。 しばらくするとJ三郎も帰ってきたので「演奏会をしよう!そうしよう!」ということになり、 久々にエレクトリックギターをビームのようにうならせる。 やがてJ三郎が「いい曲を作りました」といいアコースティックギターで演奏し始めた。 とても美しい曲だったので、わたしもつい地獄の底から響いてくるような歪んだ音で ギュイギュイ反応した。徐々に興奮してきた我々は「ピアノも入れましょう!オルガンも入れましょう! ドラムも入れましょう!」ということになりキーボードを弾いたり、身の回りのものを 叩いたり、ひっくり返したり、引っ掻いたりし始めた。 ジャカジャカ鳴らし、ギュイギュイ鳴り響き、「即興だ!即興だ!わははははは!」と言いながら 二人とも服を脱ぎ始めカーニバル的な光景が展開された。 「録音しましょう!」とJ三郎が叫んだ。「これは録音しなければなりません。こういう音こそ、 世の皆様方にお聞かせしなければなりません!」 「うむ、我が意を得たり、とはこのことだ!徹夜だ!今日は徹夜でレコーディングだ!」 J三郎は録音の準備を始めた。しかし、わたしの脳裏に電撃のようなひらめきが走った。 「今の曲のイメージを絵にするべきだ!」それを聞いたJ三郎も 「そうしましょう!いや、それこそは一番肝心なことでした。それがなくては始まりません!」と興奮し 二人で絵を描き始めた。すると隣の部屋のテレビからスポーツニュースが流れ始めた。 我々は当然の如く、ダダダッと走り寄るとテレビの前に座った。そのまま、話題は近々開催されるサッカーのヨーロッパ 選手権へと流れ込んだ。喧々諤々の議論。疲れ切った我々は本日の活動の終了を宣言した。 勿論、録音も絵も未遂に終わったのである。 あどけない夜の話である。
らすた
雑感
