サッカー日本代表戦を見る。家に着くとJ三郎が鬼の形相でのた打ち回っている。 「先ほど、一点を取られましたぁ」わたしは既に10分ほど見逃す。 「まぁ、そんなに慌てなさんな、時間はたっぷりとある・・・」 そう言いかけたが、J三郎の目が真っ赤に充血していたのを見てやめた。 軽はずみことを言って深夜の凶行に及ばれるのを恐れたからである。 激闘の末に日本は勝った。「ありがとうございましたぁ!みなさま、本当にありがとうございましたぁ!」 J三郎は深々とわたしにおじぎをして涙する。
すると突然、寝そべりだし、スポーツ雑誌でフォーメーションの確認、あるいは オリンピック代表についてのメンバーの最終確認を始める。 一人でうなづいては時々、わたしに何やら問いかける。 わたしは何も聞こえない振りをする。返事はしない。 多分、この人の頭の中は世の常識では計りきれない歓喜や悲哀で紙一重になっているのだろう。 こういう人と目を合わせてはいけない。今はあまり係わり合いにならない方が良いだろう、との判断をくだす。
わたしは葉巻に火をつけるとブランデーを持ち、おもむろにパソコンの前に座る。 ここ2週間ほどパソコンの調子が非常に悪い。悪いと言うより既に仮死状態である。 立ち上がることさえない。これはさすがに修理に出さなければ駄目であろう。 わたしのバビル2世並の電撃にやられてしまった格好だ。 そこでインターネッチョからメールから設定をやり直しマックを使っている。 しかし、ここ3,4年は音楽作成と秘密結社儀式専用にしか使っていなかったので細かい使い方を 忘れてしまっている。「うーん、このフォルダにはナニが入っていたかなぁ?」 とカチカチやっているとあらぬ誤解を受けそうなブツがゴロゴロと飛び出してくる。 わたしがモデルガンを持ち、斜に構えたり、ウインクをしたり、飛び跳ねたり、のけぞったり、人を殺めてしまい後悔の中に 顔を埋めている写真、その他、恥ずかし画像数十点。勿論、全てが裸である。 わたしはそれらの画像を見ると「もっとだ!もっと必要だ!」と本能的な衝動に駆られ腕立て伏せを開始した。 腕立て伏せをしながら”もしや、わたしも紙一重ではないのか?”という疑問が湧いた。 が、心地よい疲労の中でそういう不埒な考えはいつの間にかどこかに消え去った。

