まず、我々、不思議調査団の今回の目的はスタジオなのである。スタジオと言っても音が出せる練習スタジオである。 そんなモノは雑誌でもインターネットでも調べればすぐに分かるのだが、そういうところではなく出来るだけ小さく、妖しげで 一歩間違えれば命を差し出さねば済まない様なスタジオを探しているのである。 話をしていると数年前に殿が行った店はアレをするには最高だった、ということでまずはソコに行ってみようということになる。
さて、威勢良く下北に舞い降りると俄然とお腹が空いてくる。わたしの殺気を感じたのか、殿は早々にこう切り出した。 「ハンバーグは食べたいですか?」わたしの脳裏にそれを食しているイメージが沸き起こり もう我慢できなくなる。しかし、冷静に言う。「ふむ、ハンバーグね。うむ、悪くない、いや実際、それは素晴らしい」 細い道をツラツラと入っていくとそこにはなんともアメリカンなステーキ屋さんが! ほう、ほう、ほう!店員さんがウエスタンハットを被っておりますよ。ハイホー、ロデオ、いきり立つお馬さんが 見える。うーん、グッド。 メニューを見ると巨大なステーキやハンバーグがある。いくらお腹が空いていてもこれは無理だ。だって写真で見るソレは 皿からはみ出しているという有様ですもの。あたしにはとても無理ですわ、だってお肉がこんなに、うふふ。と二人で キャー、キャー言いながら騒ぎ立てて結局はノーマルなハンバーグにする。 お腹がいっぱいになると、何故に金曜のこんな時間にここまで一体、ナニをしにきたのか?そういうことは 一切消滅し、眠くなってしまう。わたしもケースケ殿も食べるとすぐに睡眠をとる、という習性を持っているので 非常に危ない状態になる。ちょうどいい具合に壁に鞭が掛けてあったので、ソレでお互いの背中を叩き合い、なんとか危機を乗り切る。 心地良い痛みの中でぼんやりと思い出す。そもそも、ここまでナニをしにきたのか。そうであった。スタジオを探しに来たのである。 「さぁ、スタジオを探しに行きましょう!」と殿は鞭を投げ捨て威勢良く言い放つ。
わたしは腕時計に目をやり、 「でも、もうこんな時間だから帰って眠らなければ」内心、音楽スタジオでも写真スタジオでもどっちでもよくなっていた、わたしは 小さな声でボソボソと言う。しかし、元気いっぱいの殿が歩き出したのでその後をトボトボと付いて行く。 2,3度行ったり来たりした後、「あれー、おっかしいなー」という例の声が聞こえる。「間違ったかなー」 来た!予想通りの展開である。わたしはソレ見ろ、とばかりに考えられる限りの罵詈雑言、汚辱、侮辱、軽蔑、 嘲笑、そして卑猥な言葉を投げつけた。あわよくば、殿の人格をここで崩壊させて新たな人格を形成してしまおう、とさえ思った。 その時である。「あっ!あったー」殿が指差すその方角、10M先には鈍いオレンジ色の光を放つソレが我々を待ち構えひっそりと佇んでいた。
下北道中膝栗毛 ~二つの塔<第2部>
雑感
