男性ONLY

久々に散髪をしようと外に出る。わたしの住む町はその面積に対して異常に美容室が多い。 300M四方に30以上の髪を切るナニが存在してシノギを削っている。 石を投げればそこは美容室、と言っても過言ではない。一体どうやって生活をしているのか不思議だが、 中をのぞくとそれなりに人はいるのである。わたしは鏡を見ずに自分の髪を切ることが出来る 稀有な髪質(性格?)の持ち主だが、さすがに半年を越えると後ろ髪がうっとおしくなってきた。 そんな中で(男性ONLY)という看板を掲げる粋な美容室を発見した。 髪を切っているスタイリスト達も男性である。これはイイ。以前まではスタイリストが全員女性の 店に行っていた。理由は推して知るべしである。血が繋がり同様の性癖を持つ J三郎も同じ店に行っていたのでわたしは「お兄さん」と呼ばれた。 勿論、ただちに「お兄様と呼びなさい」と訂正させたが。最初のうちは良かったのだが やがて店前を通る時に「あら、お兄様、最近来ないわね。伸びすぎですよ」 と声をかけられ、時たま店に顔を出すと「そういえば、お兄様、1週間前駅でナニしてましたね」 、「そういえば、お兄様、珈琲屋でアレしてましたね」と言われるようになった。 ”監視されている・・・”それまでしていた悪いことが出来なくなった。 わたしは徐々にソチラ方面に足をむけなくなった。自然と髪も長くなるというものである。 そのような切羽詰った状況の中でわたしはついに今日、新しいオアシスを発見したのだ! あぁ、男だ。やっぱり、男に限る。散髪は男に限る。男いいなぁ。男好きです。 などと考えながら店に入ると2人の男性が髪を切っている。わたしは勢い良く、訪ねた。 「ご免!拙者、今日が初めてとなりまするが、どのくらい待ちますかな?」 短髪の男性スタッフが予定帳を見ながら言った。 「えー、2時間ほどになります」 「あぁ、そうですか。それではまたの機会に」 10分待つのも苦手なわたしは即答した。結局、髪は切り損ねたのである。