稲荷神社

今日は稲荷神社写真を撮りに行く。狐の石像がたくさん置いてあって不気味だ。うずくまるモノや立ち上がるモノ、横目で睨みをきかすモノ。真っ昼間だというのに狐たちは大股びらきだ。神社なので辺りは大きな木に囲まれていて日差しも木漏れ日が時折差す程度である。歩いてみるとその時々で差し込む光の具合により狐達の表情が変わる。どうもこちらを見てニヤッとしているような気がしてならない。そこでこちらも見つめ返すことにする。さすがは稲荷大神様の眷属。そこら辺の狐とは比べようもないパワーだ。とは言え、こちらもただの人間ではなく完全に露出狂の気を有したニュータイプの男一匹、裸一貫、ただ今独身である。見つめ合う目と目。絡み合う地鳴りのような唸り声。そしてバタバタさせる手足。集中力が極限に達した時、不図、廻りを見渡すと仲間たちが集まりわたしを取り囲んでいる。このままでは危険だ!わたしは機転を利かせ素早く仰向けになると躊躇することなく腹ばいになり抵抗する意志がないことを彼らに知らしめた。しばしの静寂の後、彼らは囲いを解いた。辺りは最初に来たときのように木漏れ日の中でしんとしている。わたしはズボンと背中についた埃を払うと落ちているカメラを拾い上げ、振り返ることなく鳥居をくぐり神社を後にした。今晩は狐の夢を見ることだろう・・・

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